執行委員長 原園 正敏

KJTUは3年程前から、県教委交渉で度々、校則を話題にしてきました。交渉の中で県教委は、「歴史的、地域的な事情があって定められたものであるとしても、やはり時代の趨勢とか情勢に応じて見直すべきだと思っている」というような趣旨のことを言ってきましたが、自ら積極的に校則の見直しを学校現場に働きかけようという姿勢は、あまり見られませんでした。
こうした状況の中、鹿児島市では、小学校の数校と大多数の中学校が校則に規定している「下着は白に限定する」という内容が、削除されるとの新聞報道がありました。鹿児島市教委青少年課は取材に対して、「子どもたちや教職員が自分たちのルールを考えるきっかけにしてほしい」とコメントするとともに、「性別や人権にかかわることを細かく定める必要はあるか」「子どもたちが自分で考えて決められる仕組みになっているか」など基本的な考え方を提示して、子どもたちや教職員による議論を促してきたとしています。
また、熊本市教委が学校管理規則の校則に関する箇所を改正し、2021年4月1日から施行されたことも新聞報道されました。主な内容は、「校則の制定や改廃を教職員のみで行わず児童生徒や保護者の参画を義務化」「人権侵害につながる校則は必ず改定」「性の多様性を尊重できていない校則の改定」「校則の公表」「合理的な理由が説明できなければ見直し対象」等となっています。取材に対し市教委は、「児童生徒はただ規則に従うのではなく、自ら規則を考えて守ってほしい」としています。
私が中学生の頃、私の学校の校則で「男子の靴下は紺色か黒色」というのがありました。女子は白色でしたし、同じ市内の別の中学校の男子は白色でした。生徒総会で生徒の誰かがこう発言しました。「男子も白の靴下を履きたいのですが、なぜ紺か黒でなければだめなのですか。」この問いに対して生徒会の執行部は答弁できるわけもなく、一人の先生が歩み出て答弁しました。おそらく生徒指導担当の先生だったのだろうと思います。その先生の答弁は中学生の私たちが聞いても全く合理性のない答弁でした。「白では汚れが目立つからです。」???一瞬、体育館の時間が止まったような気がして、しばしの沈黙の後、多くの手が挙がりました。
「なぜ女子は白でいいんですか」
「女子は白でも汚れないんですか」
「女子は汚れが目立ってもいいんですか」
「なぜ、僕たちは紺か黒で、同じ市内の他の学校の男子生徒は白でもいいのですか」
「むしろ白で汚れが目立った方が衛生的ではないですか。紺か黒は汚れが目立たないので何日も同じものを履いてきても分からないので不衛生です。医者も白衣ですよ。」
・・・・・等々、答弁した先生の説明のおかしさを浮き彫りにする質問や意見が次々に出されました。それらに対して、どのような答弁がなされたのか今となっては覚えていませんが、私たち生徒側が発した質問や意見は、このように今でもわりと鮮明に覚えています。その日は夕刻まで議論が続き時間切れとなり、翌日に総会を継続することが約束されて私たち生徒は帰宅しました。翌日再開された総会の冒頭、先生から「男子も白の靴下を認める」旨の説明があり、総会は残された日程を消化して終了しました。記憶が曖昧なところもありますが、私が中学生だった時の出来事として私の記憶に残っている場面です。もし間違っていたらご容赦願います。
今年の県教研の後の「市民の集い」の講演は、世田谷区立桜丘中学校の校長時代に校則をなくした西郷孝彦さんを講師にお招きします。県教研に参加しない方も是非お越しいただき、校則について考えていただければ幸いです。
最後になりましたが、2021年度もKJTU執行委員一同、仲間のみなさんと一緒に様々な運動にとりくんでいきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

2021年4月25日